日本の民族衣装・着物、結城紬とは
結城紬(ゆうきつむぎ)は、茨城県結城市を中心に、栃木県との県境一帯で折られている素朴な風合いの紬織物です。結城とも呼ばれます。
伝統技法を現代に伝える唯一の紬で、今日ではもっとも高級な先染織物のひとつとされています。
この地方ではもともと養蚕が盛んで、農閑期に副業として作られたのが始まりといわれています。この地方を流れる鬼怒川は、かつて「絹川」と呼ばれ、また生産の中心であった集落の一つ、小森が「蚕守」と表記されていた時代もあるなど、結城地方では養蚕にまつわる地名が多く見られました。
結城紬は、木藍によって染色した紬糸を使用したものが多かったため、今でも染業者は「紺屋(こうや)」と呼ばれ、また縞柄が多く作られていたことから、産地では問屋を「縞屋」と呼びます。
1873年にはウィーン万国博覧会に出品され、結城紬が世界に紹介されました。1956年には国の重要無形文化財に指定されています。
「重要無形文化財結城紬」の商標を得るには、「手紡ぎ」「絣括り」「地機織り」の三つの工程を経ていることが条件です。また、その他に幅や長さ、打ち込み数や模様ずれなど、十六項目の厳しい検査に合格しなければなりません。
結城紬の工程は、すべて手作業で行われるので大変な手間がかかります。
重曹を加えた湯で繭を2時間ほど煮込んで柔らかくします。その後ぬるま湯の中で5~6個の繭を広げて重ね、一枚の真綿を作ります。真綿は胡麻油の入った水に浸してなめし加工をし、つくしと呼ばれる器具に巻きつけて糸取り(糸紡ぎ)をします。
糸取りは片方の手で糸を引き、もう片方の親指と人差し指に唾液をつけながら指先で真綿を細く捻り、「おぼけ」と呼ばれる桶にたくわえていきます。このおぼけ1秤分(94g)紡いだ糸を「1ボッチ」と呼びます。1ボッチは乾燥させた真綿約50枚分(1匁)に相当し、約七ボッチで1反の結城紬が作られます。一反分の糸を紡ぐのに、約2~3ヶ月もかかります。
この糸を糸車にかけて、綛(かせ)に巻き取ります。これを綛揚げといいます。巻き取られた糸は、絣の模様色となる目色染が行われます。
染色後の糸は、補強のため小麦粉を使って下糊付けされます。そしてボビンに巻き取って、のべ台で整経されます。この作業で糸を決められた長さと本数に揃えます。
次に、絣糸にするため、経・緯糸に墨付けを行います。さらに柄となる部分を綿糸でしばり、染料が染み込まないようにします。この作業を「絣括り」といいます。絣括りは、作られる模様にもよりますが、通常1ヶ月程度かかります。
絣括りが済んだら本染をします。結城紬特有の“たたき染”とよばれる方法で、糸括りの済んだ絣糸の束を棒の先につけて染料に浸し、石の上にたたきつけて染料を染み込ませます。
本染が済んだら乾燥させて括り糸をほどき、本糊付けをして糸の強度を高め、毛羽立ちを抑えて織りやすくします。糊付けした経糸を筬(おさ)に通し、男巻き(おまき)に巻き込みます。そして居坐機(いざりばた)で丹念に手織りし、厳重なチェックを経て、ようやく結城紬は出来上がります。
スポンサードリンク
- 次のページ:日本の民族衣装・着物、久米島紬とは